職域のメンタルヘルス

働く人とストレス

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現代は企業同士の激しい競争や産業構造の変化、過重な残業など労働とストレスは切っても切れない関係にあります。平成19年の労働者健康状況調査によると、自分の仕事や職業生活に関して強い不安、悩み、ストレス(以下「仕事でのストレス」という。)が「ある」とする労働者の割合は58.0%となっています。また、「仕事でのストレス」がある労働者が挙げた具体的なストレスの内容(3つ以内の複数回答)としては、「職場の人間関係の問題」(38.4%)が高く、次いで「仕事の質の問題」(34.8%)、「仕事の量の問題」(30.6%)の順となっています。職域での精神障害も増加しており、「労働の場におけるストレスおよびその健康影響に関する研究」では、1カ月以上の疾病休業の理由の15%程度が精神障害となっています。

職域のメンタルヘルスの意義

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ではなぜ職域でメンタルヘルス対策を行うのでしょうか。職域でメンタルヘルス活動を行う意義は下の3つにまとめられます。

  1. 労働者の健康の保持増進活動としての意義
  2. 労働生活の質の向上と事業場の活力の向上
  3. 事業場のリスクマネジメント

職域のメンタルヘルスの推進

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  • セルフケア・・・労働者が自らのストレスに気づき、ストレスの対処法の理解を深め実行することで自らの心の健康を保持すること。
  • ラインによるケア・・・職場の管理監督者が職場環境の改善を行ったり、労働者に対する相談対応を行うことで労働者の心の健康保持を助けること。
  • 事業場内産業保健スタッフによるケア・・・事業場内の産業保健スタッフ(産業医、衛生管理者、保健師等)が相談対応や心の健康づくりの情報提供を行ったり、事業場でのメンタルヘルス推進活動を企画立案することで労働者の心の健康保持を助けること。
  • 事業場外資源によるケア・・・ 都道府県産業保健総合支援センター、地域産業保健センター、医療機関など事業場外でメンタルヘルス支援を行う機関および専門家とのネットワークを形成し、必要に応じそれらの資源を活用することで労働者の心の健康保持を助けること。

過重労働対策

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長時間の残業などの過重労働への対策は心の健康づくりを進める上で重要です。過重労働による健康障害を防止する目的で、平成18年2月に改正された労働安全衛生法によって平成20年4月以降一定の基準を満たす長時間勤務者は医師との面接指導が義務付けられました。これにより労働者の健康障害の早期発見と治療、再発予防のための事後措置が取られることで労働者の心の健康の保持が図られるようになっています。

職域のメンタルヘルスの課題

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「労働者の心の健康の保持増進のための指針」や「改正労働安全衛生法」などによって特定の事業所などでのメンタルヘルス対策は進んできましたが、中小企業などを含むすべての事業所でこれらの対策が行われているわけではありません。今後は人材や資金など資源の乏しい中小企業で働く労働者をどのように支援していくか課題となっています。