うつ病
うつ病のこと知っていますか?
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日本では15人に一人が、一生の間に1回以上「うつ」になると考えられています。現在日本でうつ病にかかっている方は300万人程度、そのうち受診している人は、約96万人と推定されています。たとえば胃・十二指腸潰瘍の患者さんは41万人ですので、うつ病がありふれた病気である事がおわかりいただけると思います(平成23年患者調査)。
また、わが国の年間自殺者は約3万人となっていますが、自殺した方の多くに精神疾患、特にうつ病が関連していると推測されています。うつ病にかかっている人のうち約20%は、食欲不振、だるさ、便秘などの身体の症状が目立ち、精神的な症状があまりはっきりしない「仮面うつ病」といわれています。このようなタイプの人は、精神科ではなく内科等を受診されることが多いと考えられます。
うつ病の症状にはどのようなものがあるでしょうか
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うつ病では精神的な症状だけではなく、身体の症状もあらわれます。
- ◆精神的な症状
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- 気分の落ち込み イライラ 焦りの気持ち やる気が出ない
- 趣味やごく日常的なこともおっくうになる 集中力がない
- 仕事の能率が落ちた 自責的となる 些細なことにも罪責感を持つ
- 睡眠障害(とくに朝早く目が覚めるタイプの睡眠障害が典型的)
- ◆身体的な症状
- 食欲が落ちる 食べ物がおいしいと感じない 体がだるい 体がほてる・しびれる 体のあちこちが痛い(このような症状は、「朝のほうが不調で夕方から夜にかけて楽になる」というパターンをとる人が多いようです。)
うつ病が考えられる時は医師の診察を受けましょう
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うつ病の自己チェックシート
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うつ病の可能性があるかどうか、ご自身でチェックしてみましょう。
このチェックシートだけでうつ病の診断が決まるものではありません。ただし、上記の項目に当てはまればうつ病である可能性が高いと考えられますので、専門の医療機関(精神科、神経科など)を受診することをおすすめします。
うつ病の治療
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うつ病は「活動と休息のリズムの障害」と考えることができます。疲れているのに休めない、休もうと思っても休めない状態であり、「活動/休息」のリズムの不調と考えられます。うつ病の治療の目的は、「疲れという負債」を返済することだと言ってよいでしょう。体の活動−休息のリズムを整えるために、「抗うつ薬」を使うことが一般ですが、その効果が出るには通常1、2週間から1ヶ月くらいかかると言われています。また、回復した後も、しばらく再発の予防のために薬が必要と考えられています。回復してしばらくは症状の揺れもあり、無理すれば再発の危険もありますから、主治医と十分に治療について相談しましょう。
元気になれば薬をのみながら仕事をすることもできます。薬による治療は有効性が高いものですが、このほかにも認知行動療法や、リハビリテーションへの取組があります。自分に適した治療法を主治医とご相談ください。
※抗うつ薬にはいろいろな種類があります。また、うつ病だけではなく、不安神経症やパニック障害、強迫性障害などの治療にも使います。また抗うつ薬以外の薬もうつ病治療に使われることがあります。主治医と相談し、相性の合う薬を選んでもらえるようにしましょう。
家族の対応は?
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ご家族等の対応としては、ゆっくり休める環境を作ってあげることが重要です。うつ病になると、エネルギーがなくなり、ちょっとした決断も難しくなることがあります。また、悲観的になっているので、普通では考えられないような判断をしてしまうこともあります。大事なことを決断せず、できるだけ先延ばしすること、日常的なことについては、家族等が代わりに決めてあげることでずいぶん楽になります。
また、軽症のうつ病でも、たいてい「死にたい」「消えてしまいたい」という気持ちが出るといわれており、自殺に対する配慮も必要になります。主治医とよく相談しましょう。
「うつ」を防ぐには―こころの健康について考えよう―
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人は活動すれば、必ず疲れて、疲れれば休まなければならないものです。2、3日寝不足が続くようなら、少しゆっくり眠るように心がけましょう。そのとき、よく眠れないようであれば、生活リズムを見直したり、場合によっては医師に相談することが必要かもしれません。このようなことに注意することで、うつ病を予防できる可能性があります。
「疲れ」は、休息を取るようにという「警報」と考えられ、警報を無視し続けると、うつ病や身体の病気につながる可能性もあります。決して疲れることが悪いわけではありません。自分に合った休み方、ストレスとの付き合い方を工夫することも重要です。現代のようにストレスの多い社会では、自分自身の行動パターンや性格を知り、働き方や生活の仕方、ストレス対処法を考えることは、うつ病予防などのこころの健康(メンタルヘルス)にとって、また身体の健康のためにも重要なことです。
新しいタイプの「うつ病」?
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一般的なうつ病の特徴的な症状には、「いつも落ち込んでいて、好きなことでも楽しめない」
「朝、調子が悪く、夕方から夜にかけて回復する」「不眠」「食欲が落ちる」などがありますが、近年これらに当てはまらない症状を示すうつ病が目立つようになりました。「典型的なうつ病とは異なる」という意味から「非定型うつ病」と呼ばれています。非定型うつ病の特徴としては、
- 若い人に多い。
- 憂うつ気分や死にたいという気持ちは目立たず、虚脱感や疲れやすさが目立つ。
- 自分にとって都合が悪いことがあると気分が沈み、よいことがあると元気になる。
- 他者の評価には極端に敏感である。
- 自分を責めるより、他者に責任転嫁する傾向がある。
などです。一般的なうつ病の治療だけではなかなか良くならない例も多く、薬物療法の他に、認知療法や生活指導が重要となります。「休養」はうつ病治療の重要な柱ですが、「非定型うつ病」では休養した方がよいとは限りません。休養によって社会復帰が難しくなることもあります。日中は仕事や学業などの活動をして、夜は十分に睡眠をとるなど、生活のリズムやメリハリを考えることが重要です。